ICHレポート ノルウェーにおける抗生物質耐性菌対策でいかに成果を上げたか

ECCHでは、感染症には安易に抗生物質に頼るのではなく、ホメオパシー対処をと呼びかけ、日本では由井会長の「え!? クスリは本当に病気を治しているの?」が本当のクスリとは何かを考えさせた講演として、大きな反響を呼ぶ。

EUでの抗生物質(Anti−Biotic)認識週間が実施され、抗生物質耐性の問題が大きく取り上げられていますが、ICH スティーブ・ゴードン秘書官よりJPHMAへ情報提供がありました。その中で、抗生物質の使用を厳しく制限することで、MRSAの院内感染などの死者が激減したノルウェーの取り組みについて、紹介いただいきました。

尚、ICHにも加盟している欧州中央ホメオパシー協議会(ECCH)のホームページでもこの抗生物質耐性の問題を取り上げており、軽度な感染症に、安易に抗生物質を使用するリスクに警鐘をならし、特に感染症には効果を上げてきたホメオパシーの使用推奨を行っています。
⇒詳細はこちら(ECCHトップページ新着情報 2009年11月16日付け情報より)

日本では、12月に開催されたJPHMA由井会長による「え!?クスリは本当に病気を治しているの?」講演が大きな反響を呼びました。本当のクスリとは何かを考えなおすきっかけとなったすばらしい講演だったようです。
⇒参加者アンケートはこちら

由井会長の「え!?クスリ・・・」の講演は、以下で開催予定です。

●3/20京都サイエンスパーク(中継なし)
●3/21 広島国際会議場(中継なし)
●4/4札幌市北海道クリスチャンセンター(中継なし)

■ノルウェーにおける、超強力な細菌(抗生物質耐性菌)への解決法
ICHより報告のあった「The Associated Press」の記事をJPHMAにて和訳)

ノルウェー、オスロにあるAker大学病院は、療養所として外見はボロボロのところで、床は穴があいて傷だらけで、血圧モニターは、埃がかぶっているような状態で、気絶するほどの尿と漂白剤の悪臭は、角におかれた汚れたベッドシートの山から漂ってくるあり様です。しかし顕微鏡でよく見てみると、この場所は汚れていないのです。ヨーロッパ、北アメリカ、アジアの最もきれいな病院で何万人もの患者が死亡したブドウ球菌感染の危険や接触伝染の兆しはここにはないのです。その理由というのはノルウェー人が多くの薬を摂るのを止めたからです。25年前、ノルウェー人もこのバクテリアで命を落としていたのです。しかし、ノルウェーの公共保健システムは、「世界で最も感染のない国を目指した挑戦的なプログラム」へと反撃をしました。このプログラムのキーとなる部分は、抗生物質の使用を厳格に削減する点です。現在は、相次ぐ世界中の新しい研究が、ノルウェーのモデルが大変成功した事を証明し、保健の専門家はこう言っています。

− アメリカだけで毎年 19,000 名のブドウ球菌感染による死亡者がおり、AIDSよりも多い数となっていますが −

これは不可避ではないではと言っています。 オスロのMRSA医療アドバイザーであるJan Hendrik-Binder氏はこのように述べています。「あまりに多くの人々がこの理由で死亡するのは大変悲しい状況です、何故なら、私達は、ここノルウェーでは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、それほどの苦労もなくコントロールする事ができる事を示しているからです。これには、真剣に取り組み、注意を払わなければならず、そして諦めてはならない。」

WHOは、抗生物質耐性は、この地球上における人類の健康を脅かすもっとも主要なものの一つだと言っています。The Associated Press(本誌)による6カ月の調査では、薬の濫用や誤用は、一旦、結核やマラリアのように治療可能の疾患への変化に導く、それがより悪くなると、治るのが不可能な場合もあるのです。

ノルウェーのシンプルな解決法。ここには、希望の兆しがあります。

エーカー病院のすり傷だらけになった廊下を歩くジョン・バーガー・ハウグ先生は、白衣の胸ポケットをポンポンと軽く叩きます。「これこそ私にとって聖書だ」と言いながら、ポケットの中から小さい赤い抗生物質ガイドの本を取り出します。その本には彼の国ノルウェーのMRSAに対する解決法が記されています。

しかし、この本で最も驚くべき点は、さまざまな抗生物質が載っていない事です。

「これらの黄金律を先生の方々に見せ、何も処方してはいけない、と私は彼らに教える時があります。その結果、患者は更なる苦痛を経験する事もなければ、国も殆ど感染病に罹りません。」

ノルウェーのやっている事は以外とシンプルなものです。

ノルウェーの医者は他のどの国よりも抗生物質を処方する数が少ないのです。その為、抗生物質に対する薬物耐性になるチャンスがありません。

感染した患者は隔離し、またMRSA検査で陽性反応を出した医療スタッフは自宅に居ます。

医者は感染した患者が何処に行って誰と接したかなどを探り、その接した人の検査を行い、あらゆる方法でMRSA各品種を追跡します。

ハウグ先生は調剤室の鍵を開け、小さい部屋に並んでいる錠剤の箱、シロップの入った瓶や軟膏の詰まったチューブを見せます。ここには何があるのでしょう?多くの先進国ではもう使われなくなった薬。では、ここに無いものは何でしょう?最新の一番高い抗生物質です。それらはノルウェーで使用登録もされていません。なぜなら「ここにあれば医者が処方してしまう」と彼は語ります。

彼は抗生物質を指しながら言います。「スペインで、感染した患者を私がこのペニシリンで治そうとしたら、私は牢屋に放り込まれるだろう。それも当り前の事だ。なぜならこのペニシリンはスペインでは無効化だからだ。」

ノルウェー人は咳や風邪に対して楽観的です。それらを軽度の感染病と見做します。

「我々は、発熱した人全てに抗生物質を与える様な事はしません。彼らに、少し待って静観しようではないか、と勧め、気分を良くする為タイレノール(解熱剤)をあげます。」とハウグは言います。

オスロの下町にあるコンビニには、医薬部外品ののど飴、スプレーや錠剤が(あるセブンイレブンではブランドが42種類)色鮮やかに並べてあります。従業員、または従業員の子供が病気の日は有給とされています。製薬会社は広告も禁じられていて、結果、患者が処方箋医薬品の要求するのも減っています。

実際、こちらのマーケティングは反対のメッセージを宣伝しています。「ペニシリンは咳止めではありません」と、ノルウェーMRSA管理予防重役ペター・エルストロム先生の机に置いてあるティッシュパックに書かれています。

MRSAに関して、彼は自分の国が「最もユニークでベスト」だと見做しています。国の医療提供者で陽性キャリア―の方は1パーセント以下です。

しかし、エルストロム先生は他国から菌が入ってくる事を心配しています。昨年のMRSAケースの殆どが国の外から来たものです。

「今までは制御する事が出来たが、これを失うような状況になったら大問題だ」と彼は言いました。「本当に悲しいのは、数年以内には臓器移植などの高度外科手術が出来ない位MRSAが風土病になっていて、感染を防げない状況になっているかもしれない事だ。最悪の場合、我々は1913年みたいに抗生物質のなかったシナリオになっているかもしれない。」

四十年前、次から次へ感染病を鎮圧し、公衆衛生担当官を大いに喜ばせ新しい抗生物質の薬効範囲がありました。それらを購入することが出来る裕福な国では患者や提供者が抗生物質に頼る事になりました。だが問題は抗生物質を摂れば摂るほどそれに合わせばい菌もどんどん抵抗力を高めるのです。

1980年代、MRSA発生の初期段階でノルウェーはそれに素早く対応し抗生物質の使用を減らしました。すなわち彼らが感染病を先んじている間、他の国は後れをとりました。

MRSAが原因となるブドウ球菌感染は、ノルウェーでは1パーセントにも満たず、こう言った状況が何年も続いています。MRSAの世界トップは日本の80パーセントで、それに続きイスラエルは44パーセントでギリシャは38パーセントです。

アメリカではMRSA事例が上昇し、昨年は60億ドルの費用が掛かりました。1974年から2004年に亘って比率は2パーセントから63パーセントに上がりました。イギリスでは1990年代、2パーセントから45パーセント位に上がりましたが、現在は積極的な制御プログラムの効果が見られ様になりました。先進国に住んでいる人々の1パーセント程が皮膚にMRSAを持ち歩いています。普段は無害のばい菌ですが、小さな傷口などから体内に入る事によって致命的になります。病院などでは病人が脆弱な為、感染が広まるのが速いのですが、最近は監獄所、ジム、ビーチでも発生しています。休眠状態のばい菌は鼻咽頭スワブで簡単に検出する事が出来て、その後抗生物質で殺せます。

アメリカ疾患対策予防センターのジョン・ジェルにガン先生は、ノルウェーの解決法を様々な程度で組み込んでいる、と言っています。彼のエージェンシーは「病院に、もっと変化をもたらしてもらう必要があり、結果が見られない場合はさらなる努力が必要だ」と要求しています。

そして、もしその結果が見られなかった場合はどうなるのでしょう。

「我々のお勧めに責任を持つ者はいない」と彼は言います。「だが、病院や施設は正しい事をしたい筈だ、と私は思っている。」

30年前に着手されて成果をあげている制御プログラムを見て来た伝染病学者のバリー・ファー先生(引退)は、「手洗いがMRSAの様な感染病を防げる」と言う古めかしい考え方にしがみついている疾患対策予防センターを非難しています。スクリーニングや単離法を対策法に含めるべきだ、と彼は言っています。

疾患対策予防センターは「屈辱を忍んで、それは実際効く、と言う事を認めなければいけないのだ」と彼は言います。「敵例なら幾つもある。さらなる研究など無必要だ。正しい事をしてくれる人が必要なのだ。」

しかし、ノルウェーのプログラムは他の国でも成果をあげる事が可能なのでしょうか。

その答えは、ロンドンから100マイル程離れている古い病院の中にあります。微生物学者のリン・リーボヴィッツ先生は、ノルウェーの驚くほど低いMRSA数値を見ながら、この病院で急増していくケースを診ているのが嫌になりました。

そこで彼女はキングス・リンにあるクイーン・エリザベス病院を実験台とし、病院の先生にはMRSAを引き起こすと知られている抗生物質の二種類を使用禁止にしました。

一ヶ月後、結果が出ました。MRSA事例は暴落しています。そして、現在もどんどん落ちています。五年前にこの病院で47のMRSA血流感染事例がありました。今年は一つだけです。

「ショックを受けました。本当にショックでした」とリーボヴィッツ先生は喜んでいます。病院の件教室で彼女のそばには、顕微鏡で血液スライドの検査を行っている同僚が数人います。

彼女の成功談が広まり、電話が頻繁に鳴るようになりました。現在まで、彼女は同じ実験を他にも4つの病院で行い、毎回同じ劇的成果をあげています。

「治せるのに人が亡くなっていくのを知ると悲しくなります」と彼女は言います。「間違っているわ。」

世界中にある多くの医療機関が、ノルウェーのプログラムを適合し、成果をあげています。モンタナのビリングスにある医療センターは、スクリーニングの頻度を上げ、患者を単離し、そしてスタッフの全て(医者だけではなく)に衛生状態を保つようにする事により、MRSA感染事例を89パーセント減らす事が出来ました。

日本では、ずば抜けたテクノロジーと近代の病院があるにも関わらず、毎年1万7千人もの人がMRSAによって亡くなっています。

順天堂医院の堀聡先生は、日本の医者は抗生物質を処方するように報奨金などを含め、プレッシャーが掛かっている、と言っています。現在、堀先生は抗生物質を本当に必要としている患者にだけに処方し、ハイリスク患者はスクリーニングして単離にします。彼の病院は現段階でMRSA事例を3分の1まで減らしています。

2001年に、疾患対策予防センターは、ピッツバーグにある退役軍人病院に些細なテストプログラムを実行する話を持ちかけました。まずは1つの病棟で始まり、4年以内には病院全体が入院してくる新しい患者を全員スクリーニングするようになりました。結果は、MRSA感染事例が80パーセント減りました。このプログラムは現在、全153病院に広まり、MRSA血流感染事例は50パーセント減っています、とピッツバーグ医療制度の伝染病チーフを務めるロバート・ムダー先生は言っています。

「もう、考えるまでもありません」と彼は言います。「患者の苦痛を、彼らを診る人の手間、費用などを全て省き、人の命を救い、学んだ知識を他の病院内感染病などに適応できるのだ。」

ピッツバーグのプログラムは他の大病院でも感染病事例を急落させ、年間およそ100万ドルもの経費を抑える事が出来ました。

「どう払っているのかい」とムダー先生は訊きます。「MRSA感染に経費を掛けていない。それだけの事だよ。」

イリノイ州、バタヴィアのベス・ライマーさんの娘マデレーンは、生後5週間で風邪をひいて間もなく亡くなりました。それ以来、彼女は抗生物質に対する用心の提唱者になりました。ある日の事でした、ライマーさんの娘が鼻風邪をひいたのは。すると...

「息をしていなかった。身体がぐったりしていた」と母親は思い出しながら語ります。「なにか絶対おかしかった。」

MRSAがマデレーンの肺を侵攻したのです。抗生物質の効果は見られませんでした。マデレーンは2週間ろくに息も呑み込む事が出来なかったのです。

「あんなに身体の小さいマデレーンが、あれほど悪性満ちた病気と闘って、目の前で死んでいくのを、ただ見ている事しか出来なかった私にはそれが耐えられなかった」とライマーさんは言います。

マデレーンが他界されてから抗生物質に対するさらなる用心について率直に語るようになり、ノルウェーなどで成功しているプログラムをどんどん勧めています。状況変更に反する人を見て彼女はあぜんとしています。

「なぜ今の状況を彼らは守ろうとしているの?」と彼女は疑問に思います。

ホメオパシー国際評議会(ICH)は、世界30ケ国のホメオパシー協会が加盟、JPHMAも2006年から日本代表として加盟し、JPHMA由井会長が、ICH総会にも出席、2011年10月には、ICH初となるホメオパシー国際カンファレンスと総会が日本で開催されることが決定しています。

ICHでは、ホメオパスはすでに確立された職業資格であり、ホメオパスとしてホメオパシー医学の専門教育を受けたものが、その職業を担うものであるという考えており、加盟各国で多くのプロのホメオパスが活躍しています。また、ICHはその国のホメオパス職業保険をもつ団体の下でホメオパスは活動すべきものとしています。実際、JPHMAのICH加盟の際にはホメオパス職業保健を持つことを条件とされました。JPHMAが現在日本で唯一ホメオパス職業保険を持つ協会です。既に日本では、RAHJRAHなどのJPHMA認定のホメオパシー教育機関や海外のホメオパシー教育機関などでの所定の教育カリキュラムを修了し、JPHMAの認定試験に合格すれは日本のホメオパス職業保険の下、日本国内でのホメオパスとして活動が可能です。既に500人以上(2009年12月現在)のプロのホメオパスが、全国200ケ所を超える日本ホメオパシーセンターを中心に活躍しています。ホメオパシー医学誕生から200年の節目となる2010年5月、ハーネマンの原点を復興し、統合医療の分野で高まるホメオパシーのニーズに対応し、医原病などへの現代病へも対処できるプロのホメオパスを本格的に要請していくために、ホメオパシー統合医療専門校カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー(略称CHhomシーエイチホム 学長 由井寅子ホメオパシー博士)の日本開校が決定し、日本でのホメオパシー統合医療を支えていく人材の輩出が期待されます。